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かわら版:NEWS 一覧

2003.03.15 from萬斎
13年目のハムレット その3〜古典としての『ハムレット』さらなる展望?

◆登場人物とそんな旅が出来れば、シェイクスピア悲劇を観る時の「重くて辛い話を長時間観に行く」という心理的な障壁もなくなりそうですね。

 でしょう?(笑)。シェイクスピアは饒舌だから、様々な枝葉を作品の中に広げていく。ハムレットの狂気や道化的な部分と、苦悩の場面だけでもその振り幅の大きさは相当なものだと思います。でもそこはスイッチングのように切り換えて、私たちの言葉で言えば序破急のようにどんどんテンポを上げて、最終的にはどんなに切替えてもいつの間にかひとつの方向へまっしぐらに向かい、ラストへ猛スピードで収束していく。

そういう快感に観客も巻き込めれば最高でしょうね。それこそが古典の知恵だとも思いますし。


◆東西の古典の知恵が融合した『ハムレット』。誕生がさらに楽しみになりました。ただし、今回は演技法や方法論の違う俳優たちとの創作になります。その展望についてはどうお考えですか?

 それは稽古を初めてみないと分からない部分が多いですね。前半でも言ったとおり、演出家の発想や方法論も交えてぶつかり合い、刺激し合って初めて作品は生まれるものですから。
 実はさきほどの「ハムレット三部作構想」(笑)の第三部、私の演出による『ハムレット』では、日本の語り芸を伝承する方たちを集めたキャスティングを考えているんです。落語、漫才、義太夫、講釈......。それはね、スゴいものになると思う。例えば旅芸人の一座の場面。私個人はあそこで退屈しがちなんですが(笑)、それを講釈師が張り扇で"パパパーンッ!"と調子をつけて語ったら、これまでにないリズムや面白さが絶対に生まれると思うんです。"シェイクスピアは話芸だ!"、と思って頂けるのではないか、と。これは日本人にしか演出は出来ない、本当の『ジャパニーズ・トラディショナル・シアター版 ハムレット』ですね(笑)。
 その時に私がいくつなのか、また役者としてはどう関われるのかもわかりません。でも絶対に実現したいと思っています。


◆ありがとうございました。

  (取材/文 尾上そら)

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